お金を働かせて資産を作り、「ラットレース」から抜け出すための5つの考え方


「毎月給料はもらっているはずなのに、なぜか貯金が増えない」「このまま働き続けて、本当に自由に豊かになれるのだろうか?」そんな漠然とした不安を感じたことはありませんか?実は、それこそが「ラットレース」に気付く兆候かもしれません。
「ラットレース」とは「常に誰かのために働かされている状態」のこと。全世界2000万部を超えるベストセラーであるロバート・キヨサキの著書『金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』(2013年、筑摩書房)の中心的な概念の一つであり、多くの人が陥りがちな経済的な罠です。
人々が収入を得るために働き続け、その収入のほとんどが支出や負債の返済に消えてしまい、一向に資産が蓄積されない、まるで回し車の中を走り続けるネズミのように、同じところをぐるぐると回り続けている状態を比喩的に表現しています。
今回は、『金持ち父さん貧乏父さん』をもとに、お金の流れの概念を根本から変え、人生のラットレースから抜け出すヒントを見ていきましょう。
1.資産と負債の違いとは?正しく理解することでお金の流れが変わる
「持ち家は資産」という常識を信じていませんか?実はこれが大きな誤解であると著者ロバート・キヨサキ氏は指摘しています。
そもそも資産とは、自動的にあなたの収入を増やしてくれるものであり、具体的な例としては以下のようなものがあります。
●収入を生むビジネス(フランチャイズ経営、オンラインショップなど)
●不動産投資(家賃収入を生む物件)
●株式や債券などの金融商品(配当や利息を得られるもの)
●知的財産(著作権、特許、商標など)
一方、負債はあなたの支出を増やしてしまうものです。例としては以下のようなものが挙げられます。
●住宅ローン(持ち家の維持費、固定資産税、家賃)
●車のローン(燃料代、保険、維持費)
●クレジットカードの支払い(分割払い、利息)
●個人的な借入金(教育ローン、消費者ローン)
キヨサキ氏は、「資産があなたのために働き、負債はあなたを働かせる」と著書で述べています。
毎月の収支を把握して意識的に負債を減らし、資産になるものを少しずつでも増やすことで、自分のためにお金を働かせ、ラットレースからの脱出の第一歩が踏み出せるわけです。
2.ファイナンシャルIQを高めてお金を味方につける
資産を増やすと言われても、「投資は難しい」「自分には無理だ」と及び腰になってしまうケースは少なくありません。NISAや投資信託、外貨預金に興味はあるものの、実際には腰が重くなっているという状況に、覚えがある人も多いのではないでしょうか。
その根底にあるのは、お金に関する知識(ファイナンシャルIQ)の不足です。ファイナンシャルIQとは、お金の流れを理解し、適切に活用する能力のことであり、以下の4つの分野に分かれます。
●会計力(財務諸表を読み解き、収益性やリスクを判断する能力)
●投資力(戦略的に資金を運用して資産を増やす能力)
●市場理解力(需要と供給の動向や人々の感情が市場に与える影響を把握する能力)
●法律力(節税や資産保護のために法律を活用する能力)
キヨサキ氏は「エンパイアステートビルを建てるには、まずしっかりとした基礎(会計知識)が必要だ」と述べ、財務知識が資産形成の基礎であることを強調しています。
また、「投資そのものがリスクなのではなく、知識が不足していることこそが最大のリスクだ」として、知識を身につけることが資産形成を成功させるための重要な第一歩であると語っています。
知ることは自分の資産であり、知らないことで抱える負債を小さくするための最短の手段でもあるのです。
3.「お金のため」ではなく「学ぶため」に働く
毎月の給料を目当てに働き続けることは、表面上は安定した選択に見えるかもしれませんが、実際には自分の可能性を制限する危険な罠でもあります。
キヨサキ氏は明確に「お金のためではなく、自分の将来のために必要な知識やスキルを学ぶために働くべきだ」と主張します。お金のために働き、税金や生活費を支払うサイクルを繰り返すことは、給料が増えても支出が増えるため、真の資産を築く余裕が生まれず、借金が増えていくという「中流の典型的なお金の流れ」に陥ることでもあるためです。
その実例であるキヨサキ氏の実父であり貧乏父さんは、高い学歴を持ち、安定した給与と福利厚生が得られる企業にいながら、結局は大きな資産を築くことなく、最後には借金を残しています。
単に収入のためだけに仕事を続けていると、永遠に収入に上限があり、税金や負債に縛られる「ラットレース」の生活から抜け出せなくなります。
資産を築くために重要なのは、雇われて働く環境の中であっても、自分自身が将来的に独立したビジネスや投資に活かせる普遍的なスキルを積極的に習得することです。
営業力、マーケティング、交渉力、財務管理などのスキルを磨くことで、市場における自身の価値が高まり、自分の人生を自由に設計できる道が拓けます。
雇われている期間は、自分の人生を本気で変えるための準備期間だと認識することで、収入に対する考え方を大きく変えられるはずです。
4.恐怖と欲望に振り回されない感情コントロール法とは?
キヨサキ氏は、「感情に支配されることは、自らをラットレースに閉じ込める最も確実な方法だ」と指摘しています。しかし、多くの人が「お金がなくなることへの恐怖」や「さらなる欲望」に囚われています。
これらの感情がもたらす問題は、一時的なストレスだけでなく、冷静さを失い、本当に必要な投資やチャンスを見逃してしまうことです。実際、多くの人が恐怖や欲望に反応して無駄な消費を重ねたり、安全策ばかりを選んだりして本来持っている可能性を押さえつけてしまっています。
この感情を御すときに重要なのは、感情自体を否定することではなく、客観的に捉えてコントロールする技術を身につけることです。
たとえば、高額な買い物を即決しない、大きなお金を動かすときは一定の時間を設けて冷静に考えるルールを作る、資産運用を行う際はあらかじめ設定した基準に立ち返るようにする、といった具体的な手法が効果的です。
キヨサキ氏は「チャンスを創造するには度胸が必要だが、その度胸は感情をうまくコントロールできる人だけが持てるものだ」と言います。感情の奴隷になることなく、自らが感情を支配することで、本当に重要な経済的決断を冷静に下す力を養うことが大切なのです。
5.6つのステップで経済的自由を手に入れる
漠然とした不安を解消し、本当の経済的自由を手に入れるためには、キヨサキ氏が提唱する具体的な6つのステップを実践することが重要です。
1.収入を増やす
本業の収入に依存するのではなく、副業やフリーランス活動など収入源を多様化してリスクを分散させましょう。具体的にはオンラインビジネス、フリーランスのライティングやデザイン業務、投資収入などを検討します。
2.支出を減らす
無意識に行っている衝動買いや不要な固定費を洗い出し、支出を徹底的に見直します。サブスクリプションサービスの整理や通信費の節約、外食を控えて自炊を増やすことなど、実践的な方法を取り入れます。
3.リスクを取る
将来的なリターンが期待できる投資や起業に対し、適切に計算した上でリスクをとる勇気を持ちましょう。キヨサキ氏は「リスクそのものが問題なのではなく、知識不足が最大のリスクである」と指摘しています。必要な知識を学び、慎重かつ積極的にリスクを取る姿勢を養います。
4.自分のビジネスを持つ
雇われているだけではなく、自分の資産として収益を生み続ける仕組みを構築しましょう。副業にはオンラインショップの運営、ブログやYouTubeなどのコンテンツ制作、特許や著作権などの知的財産の構築など、さまざまな方法があります。
5.法人化して節税する
副業が軌道に乗ってきたら、個人事業から法人化することで税制上の優遇措置を受けられます。法人として経費を計上し、収益を効率的に活用しながら、税務に関する知識を深め、専門家とも相談して戦略的に節税を行いましょう。
6.家計のバランスシートを作成する
自分の資産と負債を明確に把握するために、定期的に家計のバランスシートを作成しましょう。資産や負債を具体的な数字で整理し、経済的な現状を正しく認識することで、次のステップに向けて明確な計画を立てることが可能になります。
これらを着実に進めていくことで、確実に資産を築き、真の経済的自由を手に入れるステップを進めていきましょう。
【本書の要点】
①お金持ちは「資産」を買い、貧乏人は「負債」を買う
資産とは「自分のポケットにお金を入れてくれるもの」、負債は「お金を奪っていくもの」。著者は、自宅や車のローンを「負債」と位置づけ、代わりに株式、不動産、知的財産など、お金を生む仕組みに投資することの重要性を説きます。この“定義の転換”こそが、お金持ちとそうでない人の決定的な分岐点になります。
②お金への「恐怖」と「欲望」が人生を縛っている
人は「お金が足りなくなる恐怖」によって働き、「もっと欲しいという欲望」によって散財します。著者は、「感情をコントロールできない人間は、永遠にラットレースから抜け出せない」と警鐘を鳴らします。冷静な判断のためには、感情に気づき、向き合い、意思をもって制御する力が必要だと説きます。
③「学ぶために働く」という発想が未来を変える
「給料が高い仕事」よりも、「学びの多い仕事」を選べと著者は言います。営業、マーケティング、財務、投資、起業など、将来の経済的自由につながるスキルを身につけることが、真の資産になるからです。今の職場は“学校”であり、報酬ではなく“学び”を最大化する姿勢が、次のステージへの鍵となります。
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