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なぜ、あなたの投資はうまくいかないのか?史上最強の投資家が教える「お金を増やし、減らさない」ための原理原則

2025.10.17 Fri

「株価の変動に一喜一憂して、結局は損をしてしまった」「どの銘柄に投資すれば良いのか、判断基準がわからない」――。投資を始めた多くの人が、このような悩みに直面します。目まぐるしく変わる市場の中で、私たちはどうすれば着実に資産を築いていけるのでしょうか。

今回ご紹介する『史上最強の投資家 新・バフェットの教訓――時代の激流を味方にする135の流儀』は、まさにその答えを指し示してくれる一冊です。「オマハの賢人」として知られるウォーレン・バフェット氏の投資哲学は、一時的なトレンドや小手先のテクニックとは一線を画します。それは、時代を超えて通用する、資産形成の本質を突いた「原理原則」です。

本書で語られるバフェットの言葉は、単なる株式投資の指南書ではありません。それは、ビジネス、ひいては人生において成功を収めるための普遍的な知恵の結晶です。なぜ彼は巨万の富を築くことができたのか、その思考の核心に迫ってみましょう。

目次

「株を買う」のではなく「ビジネスの所有権を買う」と考える

多くの個人投資家が犯しがちな間違いは、株を単なる「価格が上下する電子的な記号」として捉えてしまうことです。しかし、バフェット氏はこのように断言します。

「きょう株を買ったんだ、ではなく、きょうビジネスを買ったんだ、と発言する人は、豊かな生活を送れるようになる」

株を所有することは、その事業の一部を所有することに他なりません。つまり、投資の成否は、そのビジネスが長期的にどれだけ優れた業績を上げられるかにかかっています。投資先を評価する際は、その会社の製品やサービス、経営陣の能力、業界での立ち位置まで深く理解しようと努めるべきです。バフェット氏は、ある株を買うかどうか判断する際に、「時価総額と同じだけの現金を持っていたら、自分はこの事業を丸ごと買うだろうか?」と自問することを推奨しています。

この「事業所有者」としての視点を持つことで、日々の株価の細かな変動に惑わされることがなくなります。市場が閉鎖されても5年間平気でいられるような、心から価値を信じられるビジネスに投資することこそが、長期的な成功への第一歩なのです。

また、企業の業績を評価する際も、単年度の数字に一喜一憂してはいけません。バフェット氏は「重視すべきは四、五年間の平均である」と述べ、上昇トレンドを伴う安定性を見極めることの重要性を説いています。短期的なノイズを取り除き、企業の真の収益力と成長性を見極めることで、一時的な業績悪化で株価が急落した優良企業を、賢明な投資家は絶好の買い場と判断できるのです。

最高のビジネスを「そこそこの値段」で買う勇気

バフェット氏の投資哲学の根幹をなすのが、「揺るぎない競争優位性」を持つ企業を見つけ出すことです。彼はこれを、競合他社が容易に侵入できない「濠(ほり)」にたとえます。

「最高のビジネスをそこそこの値段で買えば、そこそこのビジネスを最高の値段で買うより、ずっと簡単に金が儲かるのである」

かつてのバフェット氏は、師であるベンジャミン・グレアムの教えに従い、帳簿上の価値より極端に安い「割安株(シケモク投資)」に投資していました。しかし、盟友チャーリー・マンガー氏の影響を受け、考えを大きく進化させます。単に安いだけの企業は、安いなりの理由(ビジネスモデルの陳腐化など)を抱えていることが多く、長期的な価値の成長は見込めません。そこで彼は、長期的に価値を成長させ続ける「卓越したビジネス」にこそ投資すべきだと考えるようになります。

この「揺るぎない競争優位性」は、強力なブランド(コカ・コーラ、アップル)、他社には真似のできない低コスト構造(ガイコ保険)、あるいは地域独占的なインフラ(BNSF鉄道)など、さまざまな形で現れます。顧客が高いスイッチングコストを払わなければならないソフトウェア企業や、利用者が増えるほど価値が増すネットワーク効果を持つプラットフォームなども、強固な「濠」の一例です。このような企業は、インフレが起きても価格に転嫁する力があり、莫大な追加投資をせずとも利益を上げ続けることができるのです。

重要なのは、どんなに素晴らしいビジネスであっても、「払いすぎる値段は、どんな投資をも悪い取引に変えかねない」という事実です。市場全体が熱狂しているときに高値で飛びつくのではなく、市場が悲観に包まれ、優れた企業が「そこそこの値段」で売られているタイミングを辛抱強く待つこと。これこそが、バフェット流の真骨頂と言えるでしょう。

市場の「躁うつ」を利益に変える感情コントロール術

株式市場は、常に合理的であるとは限りません。むしろ、バフェット氏は市場を「ミスター・マーケット」という名の躁うつ的なビジネスパートナーにたとえます。

「株式市場とは、忍耐力の低い者から高い者へ金を移転する装置である」

ミスター・マーケットは、ある日は極端な楽観(躁状態)から法外な高値を提示し、またある日は極端な悲観(うつ状態)から絶望的な安値を提示してきます。多くの人は、この市場の感情に振り回されます。「乗り遅れたくない」という欲望(グリード)と、「損をしたくない」という恐怖(フィアー)に突き動かされ、熱狂の中で買い、恐怖の中で売ってしまうのです。

しかし、バフェット氏はこの市場の感情の波を巧みに利用します。彼の有名なモットー「ほかの人たちが貪欲なときには臆病になりなさい、そして、ほかの人たちが臆病なときには貪欲になりなさい」は、まさにこの哲学を要約したものです。

市場がパニックに陥り、優れた企業までもが一時的なトラブルによって叩き売られているときこそ、最大の投資機会が訪れます。バフェット氏は「我々が買いたいのは、手術台に横たわっているときの優良企業だ」と語り、ブラックマンデーや金融危機といった市場の混乱期にこそ、歴史的な投資を実行してきました。

投資で成功するために必要なのは、高いIQよりも、群衆の狂気に呑み込まれない「正しい気質」なのです。自分の感情をコントロールし、市場を自分に奉仕させる存在として捉えることができれば、それは簡単なゲームだとバフェット氏は言います。そのためには、自分なりの価値基準をしっかりと持ち、市場の喧騒から距離を置く忍耐力と規律が不可欠です。

資産形成についてもっと学びたい方は、下記の過去記事もあわせてご参照ください。

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【本書の要点】

① 投資とは「ビジネスの所有」である
本書が提示するのは、株を単なる投機の対象としてではなく、長期的な価値を持つ「事業の断片」として捉える視点です。この事業所有者としてのマインドセットを持つことが、日々の株価変動に惑わされず、企業の製品、経営、財務といった本質的な価値を見抜くための第一歩となります。

② 「揺るぎない競争優位性(濠)」を持つ企業を探す
バフェット投資の核心は、強力なブランドやネットワーク効果など、競合他社を寄せ付けない参入障壁、すなわち「濠」を持つ企業に投資することです。本書は、そのような企業をいかに見極め、なぜそれが長期的な利益につながるのかを豊富な事例と共に解説しています。単に安い株ではなく、「最高のビジネス」を適正価格で買うことの重要性が理解できます。

③ 市場の「感情」を逆手に取り、最大の好機を掴む
本書は、市場が恐怖に支配されているときこそ、最大の買い場が訪れると説きます。多くの投資家が欲望と恐怖に駆られてパニック売りをする中で冷静さを保ち、「臆病なときに貪欲になる」ための感情コントロール術と、その背景にある哲学を学ぶことができます。市場の「躁うつ」を利用して富を築くための、不変の指針がここにあります。

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