不動産投資の電話勧誘が止まらない!営業担当者のノルマ実態と“即断り”テクニック完全ガイド


最近やたらと不動産投資の電話が増えた――こう感じていませんか? 知らない電話番号からの着信や強引な営業トーク、しつこい再勧誘……。背景には不動産会社の営業担当者に課せられた厳しいノルマと、巧みに練り上げられたスクリプトの存在があります。ここでは、不動産投資の迷惑電話がやまない理由から、営業担当者の実態、そして迷惑電話をスマートに断る具体的なテクニックを解説します。
なぜ不動産投資の営業電話が多いのか
電話営業が主流の理由
不動産投資の勧誘で営業電話が主流なのは、低コストで効率性がよいからです。多くの事業者は名簿業者から電話番号付きのリストを購入し、無差別に電話をかけています。不動産投資に興味を持つ潜在顧客を効率的に拾い上げ、短時間で多くの人にアプローチできるからです。電話回線と人員さえ確保できるとすぐに営業活動を開始できるため、資金力が小さい会社でも参入しやすいのもメリットでしょう。
新築ワンルーム販売会社の厳しいノルマ
新築ワンルームマンションの販売会社は、厳しいノルマが課せられていることで知られています。業界関係者によると、「1日200コール、月3件の成約が最低ライン」といった、驚くべきノルマが設定されていることも……。インセンティブや昇給を目指すには、さらに多くの成果を出さないといけません。このような過酷なノルマは営業担当者にプレッシャーを与え、結果として強引な勧誘や顧客の意向を無視したアプローチにつながりがちです。
個人情報の入手ルートとターゲット層
不動産会社は主に次のようなルートでターゲットのリストを入手しています。かつてメジャーだったのは、業者からの名簿購入です。富裕層、経営者、士業、公務員など属性ごとに分類されたものが高額で取引されており、不動産会社はこれらの名簿を利用してターゲット層にアプローチをかけます。ただし、近年は個人情報保護の観点からこういったリストが出回るケースは減っているようです。また、企業のビジネスフォンや法人携帯は、下一桁の番号が違うだけのケースが多く、ゼロから順番にかけていく営業担当者もいます。
不動産営業によるアンケート調査や名刺交換も個人情報の入手手段となります。ターミナル駅の広場などで声を掛けられ、つい親切心で受けてしまったら、後の勧誘につながったという事例は後を絶ちません。他にも、転職サイトに登録した情報が間接的に不動産会社に流れるケースもあります。転職希望者の年収や職種、資産状況などの個人データは、不動産投資の見込み客を特定するための有用な情報になりえます。不動産関連のイベントやセミナーなどで回収された個人情報も、そのまま営業リストとして活用されます。一見すると不動産投資に無関係な街頭アンケートが、電話勧誘のきっかけになることは珍しくありません。
営業担当者の“エグい”実態を知る
ノルマ未達=自腹購入・減給のケースも
しつこい勧誘の背景には、営業担当者の過酷な実態も関係しています。極端なケースだと、ノルマを達成できないと、大幅な減給や降格を受けることもあるようです。ある新人営業担当者の場合、月のノルマ達成が絶望的になった状況で、上司から「自分で買えば今月の数字はクリアできる」と事実上の強要を受け、借金して自社物件を購入したという事例が報告されています。こうなると、営業担当者はローン返済のため他の顧客に強引な勧誘をせざるを得なくなります。
テンプレートと心理テクニック
営業電話では、顧客の心理を巧みに操るためのテンプレート化されたトークスクリプトを使用します。例えば「年収の高い人ほど税金で損をしている。不動産投資なら節税効果で実質的な手残りが増やせる」という節税メリットの強調は、税金への漠然とした不安を煽ぐ手法です。「将来の年金だけでは生活は苦しい。不動産投資なら私的年金代わりになる」と、老後への不安を刺激し、年金不足の解決策として提示するのも常套手段です。
「このエリアで紹介できるのは一部屋だけ」「特別プランは今週限り」など、「今だけ」「あなただけ」といった限定感を演出するのも手です。相手にじっくり考える時間を与えず、即決を促す手法です。成功事例を提示し、顧客にも「同じようにできる」と根拠のない確認を植え付けようともします。こういったトークは顧客の潜在的なニーズや不安に付け込み、冷静な判断力を奪うのが目的です。
アポ獲得後の強引なクロージング
電話で「話を聞いてみようか」といえば、営業担当者の強引なクロージングが続きます。典型的なのが、不動産投資の基礎知識やメリットを伝える無料セミナーへの参加です。ここでは複数の成功事例や魅力的な利回りなどを強調し、参加者の興味を引き出すのが目的です。さらにセミナー後は、より具体的な相談に乗るという名目で個人面談へ移行。資産状況や収入、家族構成などをヒアリングし、適した物件を提案します。ここまで物件の購入意欲が高まると、ローンの事前審査も促します。後戻りはできないという心理状態を作り出すのが目的で、契約へと誘導します。こういった一連の流れは相手に考える隙を与えず、段階的に逃げ道をふさぐように設計されています。
電話勧誘をスマートに断る具体策
初動で「不要」と明確に伝える
電話勧誘を断るのに最も重要なのは、電話の初動で「不要」と明確、かつ断定的に伝えること。曖昧な返事や検討する素振りを見せると、営業担当者は見込みがあると思い何度も電話をかけてくるので、「興味がない」「今後は連絡しないでほしい」と、ハッキリ伝えましょう。「脈がない」と思うと、営業担当者はリストから外します。
特定商取引法に基づく拒否権を行使
電話勧誘販売には、消費者保護のために特定商取引法が適用されます。例えば17条には「電話勧誘を行う者は、その勧誘に先立ち、相手に対し、勧誘を受ける意思があることを確認しなければならない」とあり、勧誘を受ける意思がないと明確に告げた場合、以降の再勧誘は原則として禁止されています。電話勧誘を断る際は、相手の会社名と担当者名を確認のうえ、「再度の勧誘は法律違反として通報する」と告げることです。明確な拒否にもかかわらず再度電話がかかってきた場合は法律違反となり、行政処分の対象となります。
着信拒否・録音・消費者生活センターへの相談
同じ番号から電話が続く場合は、スマートフォンの着信拒否設定を活用しましょう。通話内容を録音しておくと、特定商取引法違反で行政に相談するときに、強力な証拠になります。再三の拒否にもかかわらず電話がやまない、精神的な苦痛を感じた場合は、国民生活センターや自治体の消費者センターに相談しましょう。電話口で「相談する」と伝えるだけでも、営業担当者が引き下がる可能性もあります。
まとめ
不動産投資の電話営業が蔓延している背景には、販売会社側の過酷なノルマがあり、その達成のため、時に強引なクロージングを行う実態があります。心理的に追い込んでくるケースも少なくありません。しかし、明確に断る初動対応、法律で認められた拒否権の行使、着信拒否・録音・通報の活用などで対策を講じられます。しつこい電話営業からは距離を置くことです。
不動産投資に関する情報は、電話勧誘のような受動的な形ではなく、能動的に自ら取りに行くことでリスクを抑えられます。信頼できるウェブサイトでの情報収取、書籍による学習、中立的な立場でのセミナーなど、冷静かつ客観的な視点で検討することが、何よりも大切です。
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