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海外転勤前に知らないと損する!住民税・不動産・税金トラブルの防ぎ方ガイド

2025.10.23 Thu

海外転勤の準備中は、荷造りや住まいの処分などに追われ、つい税金のことが後回しになりがちです。
しかし、日本での住民税や不動産収入に関する税制は、出国後に大きく変わります。手続きを誤ると、海外生活が始まってから思わぬ課税トラブルに発展することも……。
本記事では、海外転勤・移住の前に押さえておきたい税金の基本と、トラブルを防ぐためのチェックポイントをわかりやすく解説します。

目次

年末転勤は要注意!住民税は「1月1日」にすべて決まる

住民税は「前年の所得」に基づく“後払い制”!

日本の税制で注意すべきなのが、住民税の仕組みです。
所得税は給与天引き(源泉徴収)されるケースが多いですが、住民税には独自のルールがあります。
日本の住民税(都道府県税・市町村税)は、前年の所得に基づいて計算され、翌年1月1日時点で日本国内に住所がある人に課されます。
つまり、「後払い」が原則なのです。

不動産投資と税金の関係性については、下記の記事もあわせてご参照ください。

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「1月1日」をまたぐかどうかで課税が変わる!

たとえば、2025年の住民税は2024年の所得に基づいて決まります。
そのため、2024年中に海外転勤・移住が決まり、12月末までに転出届(除票)を提出すれば、翌年の住民税はかかりません。

ただし、1月1日時点で住民票を残していた場合、たとえ1月2日に出国しても「その年は日本に住所がある」と見なされ、1年間分の住民税を課される可能性があります。
転勤時期が年末に重なる場合は、勤務先の総務・人事担当者や税理士と相談し、転出届の提出タイミングを慎重に調整しましょう。

12月末までに転出届を出せば、翌年の課税を防げる

ポイントは「1月1日をまたがない」こと!

住民税は1月1日時点の住所で決まるため、この日をまたがないように出国手続きを進めるのが鉄則です。12月末までに海外転出届を役所へ提出し、住民票を除票しておきましょう。
その際は「生活の拠点が海外に移るため、国内非居住者となる」旨を明確に伝えることが大切です。

税法上の「居住者・非居住者」の判断は、単に住民票の有無だけでなく、生活の本拠地(実態)によって決まります。
一般的に1年以上海外に滞在する場合、日本に生活の拠点がないとみなされ、非居住者として扱われます。

すでに課税が確定している分は支払いが必要

注意点として、海外へ出国しても前年分の住民税は支払う必要があります。
会社員の場合、退職・休職のタイミングによっては給与からの天引きができず、自分で納付する「普通徴収」に切り替わることもあります。
また、出国後も納税や書類の受け取りがある場合は、納税管理人の届出を行いましょう。
家族・親族・税理士などが代理人になるケースが多いです。
さらに、一時帰国して住民票を再登録すると、翌年の1月1日に「日本居住」と見なされ、再び住民税の対象となります。長期赴任予定なら、不要な再登録は避けるのが賢明です。

不動産収入がある人は要注意!非居住者になると課税ルールが変わる

非居住者は「日本で得た所得」にのみ課税される!

海外転勤後も日本に不動産を所有している場合、税務上の取り扱いが変わります。 1年以上海外に滞在して「非居住者」になると、海外での給与所得には日本の税金はかかりませんが、日本国内の不動産から得た収入は「国内源泉所得」として課税されます。
このため、不動産収入がある場合は確定申告を行う必要があります。

「納税管理人」は必ず選任を!

非居住者は日本国内で税務署からの書類を受け取ったり、申告したりするのが難しくなります。 そのため、海外転勤前に税務署へ納税管理人の届出を提出することが義務付けられています。

これを怠ると、税務署からの通知が届かず、延滞税などのトラブルに発展するおそれがあります。

専門家への依頼で安心&節税にも

不動産収入がある場合、減価償却費や管理費・修繕費などの経費を計上することで課税所得を抑えられます。
ただし、非居住者の税務は複雑なため、税理士などの専門家に依頼するのが安心です。居住者から非居住者に切り替わる際には、税務処理も変更が必要になる点を覚えておきましょう。

出発前にチェック!海外転勤者の税務リスト

● 住民票の除票(転出届)

12月末までに転出届を提出し、1月1日をまたがないように出国を。

● 納税管理人の選任・届出

国内に不動産や証券などの所得がある場合は、納税管理人を選任し税務署に届出を提出。

● 確定申告・納税の最終確認

出国の年は確定申告や還付申請が必要なケースも。住民税・固定資産税の納税も引き継ぎを忘れずに。

● 国内の銀行・証券口座の整理

非居住者になると口座の制限や解約が必要な場合も。納税用口座を残す際は、非居住者手続きの有無を確認。

● 勤務国・勤務先企業の税制も確認

転勤先の国によっては、日本と租税条約があり二重課税を防げるケースも。勤務先の担当者に要確認を。

まとめ――海外に出る前に「日本の税金」をクリアにしておこう!

海外転勤や移住は、生活の拠点を移すだけでなく、「税務上の立場」を変えることを意味します。
特に住民税・不動産収入・納税管理人の3点は、出国前に整理すべき重要項目です。

出国のタイミングを誤ると、不要な住民税が課されたり、確定申告を怠って追徴課税を受けたりするおそれもあります。
忙しい時期だからこそ、早めに税理士や勤務先に相談し、税務整理を終えてから安心して海外生活をスタートさせましょう。

海外に住む場合の不動産の申告ルールについては、下記の記事もあわせてご参照ください。

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