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21億円のマンションが“4.2億円”と評価された理由とは?――国が調査に乗り出す背景

2025.11.28 Fri

「え、21億円のマンションが“4.2億円”扱いになるってどういうこと?」

2025年11月13日に開かれた政府の税制調査会(専門家会合)では、不動産の“一棟買い”や“小口投資”によって生まれる「評価額の大幅なギャップ」が大きな議題となりました。
実際の取引価格と、相続で使われる評価額があまりにもズレるケースが増え、国もついに問題視し始めたのです。

本記事では、どうして21億円の物件が“4.2億円評価”になるのか、その仕組みと背景をわかりやすく解説します。
不動産投資だけでなく、「不動産の値づけの仕組み」や「制度変更の影響」が気になる人にとっても、大切なテーマです。

目次

“21億円 → 4.2億円”はなぜ起きた?

政府の税制調査会で取り上げられた事例がこちらです。

● 東京都千代田区の賃貸マンション(11階建)を21億円で購入
● しかし相続時の評価額はわずか4.2億円(約2割)

なぜ、ここまで大きな差がつくのでしょうか?
ポイントは、不動産の価値を「収益物件として見るか」「相続資産として見るか」で、評価の考え方がまったく違う点にあります。

収益物件としての価値

借り手が多く、賃料が安定しているほど価値(=市場価格)は上がる。

相続評価額(通達評価額)

借り手が多いほど“自由に使えない資産”とされ、評価額は下がる。

この“逆方向の価値判断”が価格差を生む原因で、結果として21億円の物件が4.2億円として扱われる“ねじれ”が起きるのです。

不動産を活用した節税対策や、相続との関係について具体例を知りたい方は、下記の記事もあわせてお読みください。

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国税庁が問題視する“評価額ギャップ”の正体とは?

近年、都心部の不動産価格は急上昇を続けています。
しかし、相続に使われる評価額(路線価など)は市場の動きを反映するまで時間がかかる仕組みのため、実勢価格とのズレが広がりやすい状況です。

そのズレが“節税目的の不動産購入”を後押ししてきました。国税庁が今回特に問題視したのは次の2つです。

① 賃貸マンションの“一棟丸ごと購入”

21億円 → 4.2億円の事例がこれに該当します。
2024年の「タワマン節税※」対策は区分所有のみ対象で、一棟所有は対象外。その抜け道が残っていました。

※タワマン節税とは?
高額なタワーマンションの「実勢価格」と「相続税評価額」の乖離を利用した節税手法のこと。実勢価格が1億円でも相続評価額は6割以下になるケースが多く、相続税を大幅に抑えられることから問題視されてきました。こうした状況を受け、国税庁は2024年にマンション評価ルールを見直し、市場価格に近づける改正を行っています。

② 小口化された不動産商品

信託受益権として販売されるタイプで、
●3,000万円で購入
●贈与時の評価額はわずか480万円

という例が示されました。持分が小さいほど「使用制限が大きい」とされ、評価額が極端に下がりやすい仕組みが節税に利用されたのです。
こうしたケースはいずれも、市場価値と相続評価額が“全く逆”に動くことで生じます。

「節税」と「脱税」の境界線や、どこまでが合法なのかを整理したい方は、下記の記事もあわせてお読みください。

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なぜ制度の“抜け道”が生まれたのか?

不動産には2つの評価軸があります。

1:市場での価値(実勢価格)
→ 稼働率、利回り、賃料など“収益性が高いほど価値が上がる”

2:相続税評価額(通達評価額)
→ 借家人が多いほど“使いにくい資産”とされ、評価額が下がる

つまり、「投資家から見れば価値が上がる要因」が、「相続評価では価値を下げる要因」になるという不思議な構造があるのです。
この“真逆の動き”こそが、制度の抜け道を生んでいます。

不動産価格がなぜここまで高くなっているのか、その背景や今後の見通しについては、下記の記事もあわせてお読みください。

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税制改正で不動産市場はどう変わる?――知っておきたい“国の視線”

今回の会合では、専門家から次のような意見が出ました。

● 収益性をきちんと反映した評価方式に改めるべき
● 通達評価の仕組みを現代の市場に合わせて見直すべき
● 一棟マンションや小口化商品もルールの対象にすべき

国税庁は「すぐに改正するわけではない」と慎重姿勢を示しつつも、“評価額の歪み”には明確な問題意識を持っています。税制改正で見直される可能性は十分にあります。

そしてこれは、富裕層だけの話ではありません。

●不動産価格の上昇を後押しする可能性
●都市部の物件がさらに割高になりやすい
●小口投資商品が制度改正で大きく値動きするリスク

こうした影響は、住宅購入や資産形成にも直結します。制度の動向を知っておくことは、生活者にとっても重要な“将来の備え”になります。

インフレ局面で「現物資産」としての不動産がどんな役割を果たすのか、資産防衛の視点から整理したい方は、下記の記事もあわせてお読みください。

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まとめ――評価ルールひとつで市場が揺れる時代に

今回の議論は、「評価ルールひとつで不動産の価値は大きく変わる」という現実を改めて浮き彫りにしました。収益性と相続評価のねじれが大きいほど、制度の抜け道が生まれやすくなります。

主なポイントをまとめると次のとおりです。

POINT
● 21億円の物件が4.2億円評価になる“価値のねじれ”が存在
● 一棟マンションや小口化商品が“抜け道”として問題視
● 国が制度見直しを検討し始めている
● 不動産市場・投資環境にも影響が出る可能性が高い

不動産は、評価ルールひとつで立ち位置が大きく変わる資産です。制度の動きを知っておくことは、生活者にとっても投資家にとっても、これからの資産形成を考えるうえで確かな武器になります。

不動産の価値は“制度変更”だけでなく、“市場そのものの動き”にも左右されます。
最新の賃料動向やエリア別の価格トレンドを知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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