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不動産投資は法人化すべき? メリット・デメリットと判断基準を徹底解説

2025.09.30 Tue

不動産投資で物件数や家賃収入が増えると、「法人化したほうが良いのでは?」と考える人も多いでしょう。法人化には節税や資金調達のしやすさといった大きなメリットがある一方、設立・維持コストや手続きの複雑さというデメリットも伴います。
この記事では、不動産投資を法人化すると何が変わるのか、法人化のメリット・デメリット、さらに年収や物件規模ごとの判断基準について、初心者にもわかりやすく解説します。

目次

不動産投資を法人化するとどう変わる?

法人税と所得税の違い

個人事業主の場合、不動産所得は給与や副業収入と合算され、累進課税で最大55%の税負担になることがあります。収入が大きくなるほど税率も上がるため、高所得者にとって大きな負担です。

一方、法人にすると所得は法人税の対象となり、中小法人であれば実効税率は23〜30%程度に収まるケースが多くなります。この差が「法人化は節税になる」と言われる最大の理由です。

所得が増えて個人の税率が法人税を上回るタイミングが、法人化を検討すべき目安といえるでしょう。

不動産投資で発生する税については、下記の記事もご参照ください。

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経費計上の範囲が広がる

個人では不動産投資に直接かかわる費用しか経費にできません。しかし法人なら役員報酬や退職金、保険料など幅広い支出を経費にできます。

例えば、家族を役員にして報酬を支払えば、所得を分散でき、全体の税負担を軽くする効果があります。節税の幅が広がるのは法人化ならではの大きな魅力です。

信用力と資金調達の強化

法人は決算書を通じて事業の収益や資産状況を示せるため、金融機関からの評価が高まりやすくなります。

結果として、個人の属性に依存せずに融資を受けられ、より多額の資金を調達できる可能性も広がります。事業拡大や複数物件の取得を目指す投資家にとって、法人化は有力な選択肢になります。

不動産投資を法人化するメリット

節税効果が大きい

法人化のメリットはやはり節税効果です。累進課税の個人に比べて法人税は一定の水準に収まるため、所得が大きいほど効果は顕著です。

また、退職金の準備や家族役員への報酬など、法人特有の仕組みを活用すればさらに節税の余地が広がります。

投資を活用した節税対策については、下記の記事もあわせてご参照ください。

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相続対策に役立つ

不動産を個人で持つと、相続時には物件そのものが相続財産となり、評価額が高額になることもあります。分割もしにくいため、相続人同士のトラブルにつながるリスクもあります。

法人化して株式として相続すれば評価額が抑えられる可能性があり、分割も柔軟に対応可能です。将来の相続リスクを下げる意味でも法人化は有効です。

不動産投資による相続対策については、下記の記事もご参照ください。

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資金調達や事業拡大に有利

法人は金融機関からの融資枠が広がるだけでなく、補助金や助成金、クラウドファンディングなど多様な資金調達方法が利用できます。

規模拡大や長期的な経営を視野に入れる投資家にとって、法人化は成長を後押しする仕組みといえるでしょう。

不動産投資を法人化するデメリット

設立コストがかかる

合同会社なら10万円前後、株式会社なら20〜30万円程度の設立費用が必要です。司法書士など専門家への依頼費用も加わり、初期投資が避けられません。

維持コストが高い

法人は赤字でも均等割の法人住民税が課せられるほか、社会保険料の負担も増えます。さらに会計・税務処理が複雑で、税理士に依頼する費用も必要です。小規模投資家にとっては大きな負担となる可能性があります。

手続きが複雑になる

法人は複式簿記による記帳、決算申告、登記変更、株主総会の開催など多くの手続きが必要です。これらを自力で行うのは難しく、専門家のサポートが不可欠です。その分コストも増えるため、法人化は「規模に見合った仕組み」と考えるべきでしょう。

法人化を検討すべき人の判断基準!

不動産所得300万円未満・物件数が少ない人

この段階では法人化のメリットは小さく、設立・維持コストが負担になるだけです。まずは個人で経験を積み、不動産経営のノウハウを身につけましょう。

不動産所得300万〜800万円・複数物件を持つ人

所得税の負担が重くなってくるため、法人化を検討すべきタイミングです。法人税と比較してどちらが有利か、税理士にシミュレーションを依頼すると安心です。

不動産所得800万円以上・規模拡大を目指す人

所得が大きくなるほど法人化のメリットは大きくなります。資金調達や相続対策の面でも有利になり、本格的な事業拡大を視野に法人化を進める価値があります。

保有物件が5棟10室に達した人

国税庁は収益不動産の運営について、「貸与できる独立した室数がおおむね10室以上」「独立家屋の貸付がおおむね5棟以上」であれば「事業規模」と判断するとしています。いわゆる「5棟10室」と呼ばれる基準であり、これに達すると青色申告特別控除や専従者給与・専従者控除が受けられ、貸倒損失や資産損失を必要経費に計上しやすくなるメリットがあります。

一方、所得税や住民税は高額になり、個人事業税が発生するケースもあるので、法人化を検討する良いタイミングといえるでしょう。

まとめ

不動産投資の法人化には、節税・相続対策・資金調達といった大きなメリットがある一方で、設立費用や維持コスト、手続きの煩雑さといったデメリットもあります。法人化すべきかどうかは、不動産所得の規模や事業拡大の計画、相続の有無などによって変わります。

「不動産所得がどれくらいあるか」「将来どの程度の規模を目指すのか」を基準に考え、必要に応じて税理士などの専門家に相談すると安心です。

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