投資信託の積立と一括投資の違いとは?

NISA(小額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の普及に伴い、投資信託を活用した資産運用をする人が増えています。同商品は「積立」もしくは「一括」の形で商品を買い付けられますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。ここで詳しく解説します。
投資信託とは?
投資信託の基本的な仕組み
投資信託とは、投資家から集めた資金を運用の専門家(ファンドマネジャー)が株式や債券、不動産などに投資・運用し、その運用成果が投資額に応じて分配される金融商品です。日経平均株価やS&P500といった指標に連動する成果を目指す「インデックスファンド」と、 国内株式、米国株式、AIなど特定のテーマに沿ってファンドマネジャーが運用する「アクティブファンド」の2種類に大別され、基本的は証券会社、銀行などで購入します。ただし、購入時の手数料や保有中の信託報酬をはじめとするコストは商品ごとに異なり、インデックス型に比べるとアクティブファンド型のほうが高くなります。商品を購入する前に必ず確認しましょう。
投資信託のメリット・デメリット
投資信託のメリットは、プロに運用を任せられる、少額から投資可能、分散投資によるリスクヘッジなど。運用の素人が投資対象を選別・決定するのは簡単でなく、日々の管理も大変ですが、投資信託はこれらをプロフェッショナルに一任できます。また、最低投資額は少額で、現在は数百円から始められるサービスもあります。1つの商品で複数の株式や債券を運用するので、個別株に比べてリスクを抑えやすいのも特長です。
一方、投資信託は元本保証の金融商品ではなく、運用状況によっては元本割れのリスクが生じます。また、プロに任せるということは運用方針を投資家自身が決めることはできず、信託報酬などのコストも支払わないといけません。
投資信託の積立投資と一括投資の違い
積立投資とは?
積立投資とは、毎月1万円など、定期的に一定額で金融商品に投資する方法です。現在は数百円と少額で始められる証券会社もあり、長期間にわたり無理のない範囲の金額で投資できるのが特徴です。証券口座などで自動引き落としの設定をしておくと定期的に購入されるので、手間をかけず継続しやすいといえるでしょう。クレジットカードによる買い付けに対応する証券会社も多く、この場合は投資信託の購入でポイントも付与されます。
積立投資のメリット・デメリット
積立投資は毎月決まった金額を積み立てるため、投資信託の価格が高い時は少ない量を買い、安いときは多くを購入します。専門的には「ドルコスト平均法」と呼びますが、これにより平均購入価格が平準化され、価格変動の影響を受けにくく、長期的に見るとリスクを抑えながら資産を増やす効果が期待できます。投資タイミングが分散されるので、運用成果もその時々の市況に左右されにくく、相場の先行きが読みにくい初心者や、長期的な資産形成を目指す人に適した方法といえるでしょう。
ただし、短期間で大きな利益を得るのに向いていません。相場が下落した時は含み損が生じることもありますが、ここで慌てて損切りをするのではなく、むしろ安く買うチャンスになったと前向きに捉え継続するのがポイントです。
複利効果も生かせます。分配金を再投資する設定にしておくと、得られた利益がさらに利益を生むサイクルが生まれ、長期運用になればなるほど資産は増えやすくなります。NISAのつみたて投資枠やiDeCoは積立投資に対応しており、税制面でも優遇を受けられます。投資信託の積立投資を始める場合は、まずはこれらの制度を活用することです。
NISAについて下記の記事にて詳しく解説しています。
(NISAに関する無料小冊子はこちら:始める前に知っておきたい! 意外と知らない! 新NISAの落とし穴)
一括投資とは?
一括投資とは、まとまった資金で特定の投資信託を購入する方法です。例えば100万円で一括投資をするとしたら、その全額がすぐさま投入され運用が始まります。市場の上昇局面では早期にリターンが得やすく、積立のように毎月投資額を捻出・管理する必要がなく、手間もかかりません。
一括投資のメリット・デメリット
一括投資は資金をすぐ市場に投じられ、安いときにまとめて購入することで、その後の上昇時にリターンを大きくすることが可能です。底値圏や上昇トレンド、相場の回復期や高騰時に有効といえるでしょう。
ただし、投資タイミングが運用成果を左右するのは注意点です。例えば、投資開始直後に市場が暴落すると、大きな損失を生む可能性があります。特に短期的な価格変動が大きな市場では、タイミング次第で長期的な含み損を抱えるリスクがあり、心理的にもストレスです。一括で大きな資金を投じることに不安を感じる投資家もいるでしょう。少なくとも、余裕資金で始めるのが一括投資の鉄則です。
積立投資と一括投資のどちらが最適か?
リスク許容度と投資目的に応じた選択
積立投資と一括投資のどちらにもメリット・デメリットがあり、投資の目的や資金の状況、リスク許容度によって最適な手段は異なります。まずは、自身に合っていてストレスのない方法を選ぶことです。
例えば、リスク許容度や投資目的から考えるとすると、リスクを取ってでも短期で大きなリターンを目指すなら、選ぶべきは一括投資です。一方、積立投資はドルコスト平均法を利かせることで大きな損はしにくい投資法ですから、長期で安定的な資産形成を目指すなら、積立投資が向いています。このような観点で選ぶのは投資の基本です。
積立投資を選ぶべき人とは?
積立投資はドルコスト平均法を活用することで、価格変動のリスクを平準化することができます。よって、相場分析が苦手、売買タイミングを見極める自信がない人は、この方法が向いています。ただし、短期的に大きなリターンは期待できませんから、コツコツと長期的に資産を増やすことが前提です。ただし、時間を味方につけた運用ができるので高度な投資のテクニックは求められず、経験を問わず始められます。まとまった資金がない人も、積立投資なら長期視点の資産形成が始められます。
一括投資を選ぶべき人とは?
投資に回す資金があり、ある程度のリスクを取れる投資家なら、一括投資が選択肢に挙がるでしょう。上昇する相場の流れに乗り、一気に稼ぎたい人にも向いています。投資に慣れていて、市場の分析や売買タイミングの見極めも得意なら、言うことはありません。その際は、リスクを取れる余裕資金を使い、損失が出た場合はあらかじめ決めて置いたラインで損切りすることです。
積立投資と一括投資の組み合わせ方
積立と一括のハイブリッド型投資法
長期的にリスクを抑えた運用なら積立投資、短期的なリターンを目指すなら一括投資がお勧めですが、両者を組み合わせたハイブリッド型投資法をすることもできます。
例えば、基本は積立投資で資産を増やしつつ、マーケットの上昇時は気になる商品を一括で購入すれば、相場変動のリスク分散を図りつつリターンを狙うことが可能です。資金や相場の状況に合わせフレキシブルに動くことで、投資効果を最大化することができます。
まとめ
いかがでしょうか。投資信託の購入方法は大きく2つあり、うまく使い分ける・組み合わせることで目的に合った資産運用ができるとわかったはずです。これらを念頭に置いて、投資を実践しましょう。
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