不動産投資にかかる費用はどれくらい?


不動産投資を検討する際は、どうしても物件価格ばかりに目が行きがちです。しかし、不動産投資にかかる費用はそれだけではありません。物件価格以外の初期費用や運用時のランニングコストなどさまざまな費用がかかります。
不動産投資にかかる初期費用
不動産投資をはじめる際の初期費用には、次のようなものがあります。
物件の頭金
不動産投資の物件購入資金は、金融機関からの融資を受けて調達するのが一般的です。少ない自己資金で大きな投資ができる。このレバレッジ効果を利用できるところが不動産投資の大きな魅力だからです。用意するべき頭金の額は、金融機関や個人の属性などによって異なります。公務員や比較的安定した企業に勤めていれば、少ない頭金でも融資可能な金融機関が多いようです。通常は最低でも物件価格の1割は必要でしょう。物件評価が高い物件の場合は頭金なしで金融機関から借りられる場合があります。これは、手元の資金を減らさずに投資ができるメリットがある一方、大規模なアパート投資などと比べると利回りが低くなる場合があります。
仲介手数料
物件を不動産会社に探してもらって購入する場合、その会社へ仲介手数料を支払うことになります。仲介手数料は上限で物件価格の3%+6万円(物件価格が400万円以上の場合)と定められています。
火災保険料
物件を購入する際は、火災保険に加入するのが一般的です。金融機関によっては、火災保険の加入が融資の条件になっています。
司法書士への報酬
物件を登記する手続きは、司法書士へ依頼するのが一般的です。報酬の目安は10~15万円程度です。
固定資産税と都市計画税の清算
固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点の物件オーナーが納めることになっています。中古物件を購入する際は、引き渡しの時点で日割り計算して残りの日数分を支払うのが一般的です。
不動産取得税
不動産を購入した際にかかる税金です。算出方法は以下になります。
不動産取得税=不動産の課税標準額×4%(税率)
ただし住宅と土地の税率は、特例として2027年3月31日まで3%となっています。また、不動産の課税標準額とは、原則として固定資産評価額です。実際の購入価格ではありません。
印紙税
不動産の売買契約書と金銭消費賃借契約書に課せられる税金です。税額は下記のように契約額によって異なります。なお、2027年3月31日までは軽減措置が適用されます。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
(引用:https://www.sonylife.co.jp/land/blog/column015.html)
登録免許税
不動産の取得を登記するための税金です。算出方法は下記になります。
登録免許税=固定資産税評価額×税率
おもな税率は以下になります。
土地(所有権移転登記):2.0%(2026年3月31日までの軽減税率:1.5%)
新築建物(住宅用家屋所有権保存登記):0.4%(2027年3月31日まで軽減税率:0.1%~0.15%(住宅性能により異なる))
中古建物(住宅用家屋所有権移転登記):2.0%(2027年3月31日まで軽減税率:0.3%)
融資(抵当権設定登記):0.4%(2027年3月31日まで軽減税率:0.1%)
消費税
建物の代金に対しては10%の消費税がかかります。土地には課せられません。
これらをすべて合わせた初期費用の目安は、物件価格の15%前後です。1億円の物件ならば1,500万円。最低でもこれくらいは用意しておきましょう。
初期費用だけじゃない!運用時にかかるランニングコスト
物件を管理・維持していくには次のようなランニングコストがかかります。
ローンの返済
多くの場合、ランニングコストのなかでもっとも大きな割合を占めるのがローン返済でしょう。目安は家賃収入の50%程度です。
管理委託手数料
共用部分の清掃・メンテナンス、家賃回収、クレーム対応、入居者募集などの管理業務を管理会社へ委託する場合は、管理委託手数料を負担しなければなりません。目安は家賃収入の5%前後です。なお、管理会社などとサブリース契約を結ぶ場合は、家賃の10~20%の手数料が毎月かかります。
修繕費
エアコンの故障から給排水管の交換、外壁の塗り替えまで、賃貸物件は不具合が発生するものです。アパートやマンションなどを1棟所有する場合、これらの修繕費用はすべてオーナーが負担することになります。そのため、家賃収入の5%程度は毎月積み立てておくことをおすすめします。なお、区分所有マンションの場合は、修繕積立金として管理組合から毎月1万円前後が徴収されます。
原状回復費用
入居者が退去した際は、室内クリーニングをはじめとする原状回復を行います。費用は、以前は敷金から調達することもありましたが、現在は入居者の故意や過失がなければオーナーが負担することになっています。費用の目安は、入居していた期間や広さなどによって異なりますが、家賃1ヶ月分といったところでしょう。
共用部分の水道光熱費
共用部分の水道光熱費について、区分所有マンションの場合は管理費として毎月1万円程度を支払います。アパートやマンションなどを1棟所有する場合は、1戸あたり年間で1万円程度です。
火災保険料
火災保険料は初期費用にもありましたが、物件を所有している限り毎年かかります。費用の目安は、保険の内容や物件によって大きく異なります。アパートの場合で、地震保険を付けなければ年間数万円程度でしょう。
各種税金
不動産投資をしていると、毎年「固定資産税」「都市計画税」「所得税」「住民税」の納税義務が発生します。また、10室以上保有など一定以上の家賃収入がある場合は、個人事業税が課せられます。
不動産投資の初期費用を少なくする方法
不動産投資をはじめるなら、初期費用は必ずかかります。それでもできる限り少なくする方法を紹介しましょう。
頭金を減らす
金融機関の方向性やオーナーの属性によっては頭金なし、いわゆるフルローンで融資を受けることも可能です。このことで初期費用を大幅に減らすことができるでしょう。しかしその分、融資審査は大変厳しいものになります。また、審査が通ったとしても、毎月の返済額が増加して安定した運用がしにくくなる可能性も大きくなるので慎重に検討するべきです。ですが、区分マンション投資の場合は、頭金なしで借りられる可能性が高まる場合があります。
不動産会社が売主の物件を選ぶ
売主が不動産会社であれば、仲介手数料はかかりません。ただし、物件価格自体が相場よりも高い場合があるので注意が必要です。
初期費用も融資で調達する
金融機関によっては初期費用に対してもローンを組める場合があります。ただし、金利が一般的なアパートローンよりも高い場合があるので注意しましょう。
まとめ
以上のように、不動産投資の初期費用を少なくする方法のほとんどは一長一短です。このことにこだわるより大事なのは、毎年希望のキャッシュフローを得られるかでしょう。そのためには専門家としっかり相談して慎重に物件を選ぶことが重要です。
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