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iDeCoを始めるには?
初心者でもわかる始め方・手順・注意点を徹底解説

2025.06.30 Thu

人生100年時代が到来するなか、厚生年金や国民年金といった公的年金だけでは、老後の暮らしに不安を覚える現役世代が増えています。その解決策の1つとして注目を集めているのが「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。しかし「仕組みがいまいちわからない」「どの金融機関に口座を持てばよいか」「手続きが面倒」といった理由で、  二の足を踏むケースも…。ここでは、初心者でもわかるiDeCoのイロハについて解説します。

目次

iDeCo(イデコ)とは?

iDeCoの基本的な仕組み

iDeCo(イデコ)は「individual-type Defined Contribution pension plan」から取った愛称で、正式には「個人型確定拠出年金」のこと。公的年金に上乗せする形で老後の資産を形成する私的年金制度の1つです。基本的には20歳以上65歳未満の方が加入でき、自身で選択した金融商品を毎月5000円以上1000円単位で積み立て運用し、60歳~75歳の間に一時金もしくは年金として受け取ります。その際は、さまざまな税制優遇を受けられるのがメリットです。

他の制度との違い

確定拠出年金には「企業型確定拠出年金(企業型DC)」もありますが、こちらは導入している企業の重合員向けの制度です。対してiDeCoは「個人型」と言われる通り、個人が任意で加入することができます。以前は両者を併用できませんでしたが、2022年10月以降は可能になりました。

税制優遇が受けられる資産形成の手段としては、NISA(小額投資非課税制度)も有名です。ただし、その目的はiDeCoが年金づくりであるのに対して、NISAは長期的な資産形成と大きく異なります。それを示すかのように、NISAの運用資金はいつでも口座から出金できますが、iDeCoは原則60歳まで引き出すことはできません。また、NISAは「成長投資枠」で個別株に投資できますが、iDeCoは対象外になっています。両者の違いを理解した上で使い分ける必要があります。

iDeCoを始めるには? 必要な準備と手続き

ステップ① 自分の加入資格を確かめる

iDeCoは5つの手順を踏みながら進めると、簡単に始められます。まずチェックするのは、自身の加入条件です。以下に該当すれば問題ありません。

国民年金の第1号被保険者

20歳以上60歳未満の自営業者(フリーランス)とその家族、学生などが該当します。ただし、農業者年金の加入者、国民年金保険料の全額・半額免除を受けていると加入できません(障害基礎年金受給者は除く)。

国民年金の第2報被保険者

会社員や公務員など厚生年金の被保険者のこと。ただし、勤務先が企業型DCを導入しており、事業主掛金が毎月拠出になっていない、マッチング拠出を選択していると加入できません。

国民年金の第3号被保険者

厚生年金の被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者を指します。

国民年金の任意加入被保険者

国民年金に任意で加入した人のことです。

ステップ② 金融機関を選ぶ

iDeCoは、証券会社などの金融機関を通じて加入する決まりです。ただし、金融機関によって商品ラインナップや手数料、サポート体制は異なります。初心者であれば相談窓口の有無、普段から利用している銀行から選んでもよいでしょうし、オンラインで簡単に手続きが済ませられるネット証券から選ぶ手もあります。

ステップ③ 掛金を決め運用商品(運用先)を選ぶ

iDeCoの掛金は毎月5000円から1000円単位で任意に設定できますが、加入資格により上限が異なります。

iDeCoにはさまざまな運用商品が用意されていますが、大きく分けると「元本確保商品」と「投資信託」の2つに分類されます。前者は定期預金や保険商品を指し、所定の利息が上乗せされる仕組みです。一方、投資信託は国内外の株式・債券を対象とした商品があり、それぞれでリスクやリターンは異なります。まずは運用商品について調べ、あるいは金融機関に相談し、内容を確かめてから選ぶことです。

ステップ④ 必要書類などを提出する

iDeCoに加入するためには、勤務先から取得する事業主証明書や国民年金基金連合会に提出する個人型年金加入申込書、本人確認書類の写し、年金手帳や基礎年金番号通知書など基礎年金番号がわかるもの、掛金を引き落とす口座情報などの書類を用意しないといけません。これらを取得・揃えた上で手続きを済ませましょう。

ステップ⑤ 運用スタート

1~2か月の審査機関を経て問題がなければ、国民年金基金連合会から通知書類、金融機関の加入者サイトにログインするためのID・パスポートも届きます。サイトにログインすると運用状況を確認することができ、金融機関によってはこの時に運用商品や配分を決めることも可能です。掛金が所定の銀行口座から引き落とされると運用が始まります。

このように正しい手順を踏んで進めると、iDeCoを始めるのは難しくありません。金融機関のサイトなどでも情報を提供しているので、お確かめください。

iDeCoのメリット

運用時と受取時に税制優遇が適用

iDeCoの魅力は、税制優遇を受けられることです。1つは、毎月の掛け金が全額所得控除の対象になること。これにより所得税・住民税が軽減されます。なお、所得控除を受ける際は年末調整や確定申告の際に、「小規模企業共済掛金控除」の申告が必要です。iDeCo加入時に国民年金基金連合会から送られてくる証明書を保管しておき、必要に応じて提出しましょう。

通常、投資利益に対しては20.315%が課税されますが、iDeCoで得た分は非課税扱いになります。長期で運用すればするほど利益は大きく膨らむ可能性があり、これも無視できないメリットです。

受取時は一時金・年金でも優遇が受けられる

iDeCoは一時金か年金で、受け取り方法を選択することができます(金融機関によっては併用可)。その際、一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金の場合は公的年金等控除の対象となります。

iDeCoの注意点・デメリット

原則60歳まで引き出せない

iDeCoは老後に向けた資産形成を目的とした制度です。そのため、積み立てた資産は原則60歳まで引き出せません。加えて、60歳から確定拠出年金を受けるには10年以上の加入期間が必要で、10年未満の場合、受け取り開始年齢は61歳以降になります。急な現金ニーズには対応できないので、銀行預金など別の方法でキャッシュを持つようにしましょう。

手数料・維持費がかかる

iDeCoは口座開設時の「国民年金基金連合会納付金」(一律2829円)をはじめ、運用中は金融機関に運用管理手数料を支払う必要もあります。金融機関ごとに異なり月単位ではわずかですが、長期だと大きな差になります。事前に複数の金融機関で比較することです。

運用益がマイナスになることも

iDeCoでは元本保証型の金融商品がある一方で、メインの商品である投資信託は元本を保証しません。運用の結果、積み立てた資産が減るケースもあります。この点には注意が必要です。

まとめ

iDeCoは節税をしながら老後資金を作れる公的な制度です。金融機関や運用商品を選ぶ手間はかかりますが、手続きの多くはオンラインで済み、必要書類も身近になるものなので、簡単に用意できます。自身の加入要件やライフプランと照らし合わせ、うまく活用しましょう。一方、運用する商品によっては資産を減らすリスクがあります。慎重に進めることです。

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