家賃収入で資産を育てる!
不動産投資の仕組み・必要資金・安定運用のすべて


株式や投資信託とならび人気の高い資産形成術として知られる「不動産投資」。購入した物件を貸して得る家賃収入は「不労所得」と呼ばれ多くの人を惹きつけますが、どう進めればリスクを抑え安定・継続的に得られるのでしょうか。ここでは、そのポイントについてわかりやすく解説します。
家賃収入とは?――不動産投資で得られる“インカムゲイン”の基本
家賃収入の仕組みと収入源
アパートやマンションといった賃貸物件を購入し、運用する不動産投資。その魅力の1つが、保有する物件から得られる家賃収入(インカムゲイン)です。入居者がいる限り毎月得られるのが特徴で、安定的な収入として注目されています。
家賃収入の大半は月額家賃が占めますが、他にも契約時に入居者が支払う礼金、共用部の維持・管理に充てる共益費、契約更新時に発生する更新料、さらには敷地内の駐車場など付帯収入もあります。ただし、礼金は契約時のみ、更新料は2年ごとが一般的とされており、空室対策のため徴収しないなど、オーナーの裁量で決められます。
キャッシュフローと不動産所得の違い
家賃収入は魅力的な収入源ですが、丸々手元に残るわけではありません。不動産投資では物件の取得時や運用中にかかる費用、必要に応じて発生する費用など、さまざまなコストが生じます。「家賃収入-経費-ローン返済-税金」というように、支出を引いた残りがキャッシュフロー(手残り)になるのです。また、課税対象となる不動産所得も家賃収入ではなく、ここから税金などの必要経費を差し引いた税引前のキャッシュフローが対象となります。不動産所得は減価償却費や借入金利などが経費計上できるため、キャッシュフロー=不動産所得ではありません。この点を理解すると戦略的に不動産投資を進められ、資産増につながります。
家賃収入が“完全な不労所得”にならない理由
不動産投資では家賃収入=不労所得とイメージしますが、実際のところ不労とはいきません。例えば、相場に応じた家賃の見直し、退去後の原状回復や次の入居者募集、入居者対応、設備の故障や長期修繕計画の立案・実行など、オーナーの業務は多岐にわたります。これらをオーナー自身ですることもあれば、専門の管理会社に委託することもできます。ただし、最終的な意思決定はオーナー自身が下す必要があり、まったく手間をかけず、左団扇で暮らせるわけではありません。不動産投資は一定の知識と関与が求められる「事業」なのです。
安定した家賃収入を得るためのポイント
物件選定――立地・築年数・ターゲット設定
不動産投資の成否を握るのは、入居者が絶えない物件を所有することに尽きます。そのためには綿密な戦略を立てて臨む必要があります。
まず重視すべきは立地です。最寄り駅からの距離やコンビニエンスストア、スーパーマーケット、医療機関、学校などの生活利便性、地域の人口は賃貸需要に直結します。いくら物件が安い、収益性が高くても人が入らないことに家賃収入は生まれませんから、場所選びは慎重に進めることです。また、単身者が多いエリアにファミリー層向けの物件を買うといったミスマッチも避けたいところ。ターゲットを見極めたうえで物件を選びましょう。見た目がよく設備も新しい新築や築浅、リノベーション済みの物件を選ぶと空室・修繕リスクを抑えやすくなります。
経費・修繕費管理と空室対策
物件の運用を始めると、いかに経費を抑えつつ収益性を維持するかが問われます。物件の管理は管理会社に委託するのが一般的ですが、手数料水準や入居者募集をはじめとする対応力は適切か、火災保険や地震保険の保険料、修繕費の管理、さらには経年による家賃下落など、将来を見据えたシミュレーションをしておくと安心でしょう。また、空室対策は極めて重要で、セキュリティや宅配ボックスの設置、ネット無料といった設備、退去から次の募集までのスピード、募集時の対応の質向上は効果的です。
資金計画とローン活用
資金計画も不動産投資の成否を握る大切な要素です。例えば、アパートやマンションといった集合住宅は土地と建物を合わせると数千万~億単位の価格となり、融資を活用するのが一般的。自己資金を多く入れると返済負担が軽くなりますが、手元のキャッシュは減るので不安かもしれません。近年は金融機関側も物件価格の1~3割程度の頭金を求めるようになっています。
金利水準や返済期間にも注意することです。金利が高く返済期間が短いと毎月の負担は重くなります。どのような返済計画なら無理がないのか、事前のシミュレーションが必須であり、専門的な知識が必要なので不動産会社に協力を仰ぐことです。返済割合は年間家賃収入の40%以内に収めるのが一般的で、余裕のある計画を立てましょう。
家賃収入のリスクと対策
空室・家賃下落リスク
魅力的に映る家賃収入ですが、必ずしも安定的に得られるとは限りません。最大のリスクは空室による収入減です。対策としては賃貸需要が見込めるエリアでターゲット層にマッチした物件を所有すること。周辺相場や築年数・設備に応じた適切な家賃設定も求められます。とりわけ、物件は築年数に応じて競争力が低下するので、家賃の引き下げを余儀なくされます。下落リスクは避けようがない一方で、リフォームなどで価値を維持することも可能なので、しっかり対策しましょう。賃貸契約を結ぶ際に、入居者が家賃を滞納した場合に建て替える家賃保証会社の活用もおすすめです。
大規模修繕・災害リスク
建物は経年劣化が避けられず、大規模修繕のタイミングが必ず訪れます。毎年一定額を修繕積立金として確保しておくことが重要です。あるいは、大規模修繕の前に売却する手もあります。また、日本は地震をはじめとする自然災害が多く、近年は台風や豪雨の被害も増えています。火災もありますから、災害への備えとして火災保険・地震保険への加入は必須です。被災時のリスクヘッジになります。
金利上昇・ローン返済リスク
変動金利で融資を受けている場合、金利が上昇すると毎月の返済負担が増し、キャッシュフローを直撃します。日本はゼロ金利政策を解除し「金利のある世界」に戻り、今後も引き上げの可能性が濃厚ですから、将来の金利も見据えた返済計画をあらかじめ立てておくことです。可能であれば長期固定金利を選択し、金利変動に備えることも検討しましょう。キャッシュフローに余裕があれば、繰り上げ返済することで金利負担を軽減することもできます。
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不動産投資に関するコラムはこちら:不動産投資でやっていはいけないこと、成功率を上げるためにやるべきことを徹底解説)
まとめ
一般的に不動産会社は年間家賃収入をもとに計算した「表面利回り」を示しますが、不動産投資による家賃収入はすべてが手元に残るのではなく、経費や税金を差し引いた手残りを基準に考えるべきです。物件を購入する前に保有資産や生活費、将来設計から逆算して必要な収入額を明らかにし、無理のない範囲で投資規模を設定しましょう。
物件選び・資金計画・リスク対策の三本柱を整えることで、安定した家賃収入が実現します。不動産投資は長期的に取り組み、専門知識も必要不可欠なので、専門家と連携しながら計画的に進めることもおすすめします。
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