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年収400万円台から始める不動産投資――融資・自己資金・堅実戦略を完全ガイド

2025.07.25 Thu

国税庁が発表した2023年分の民間給与実態統計調査によると、会社員やパート従業員の平均給与は約460万円でした。3年連続で増えましたが、税金や社会保障費の負担増から、手取りにはあまり反映されていません。こうしたなか、将来に向けた資産形成として不動産投資への注目が高まっていますが、平均的な給与で始められるのでしょうか。ここでは、年収400万円台から始める方法について解説します。

目次

年収400万円台で不動産投資は可能?――その現実とハードル

ローン審査の最低年収基準と年収400万円台の位置づけ

不動産投資では物件価格の一部に自己資金をあて、残りは金融機関の不動産投資ローンを活用し取得するのが一般的です。その際の融資限度の目安は年収の7~10倍とされ、年収400万円なら2800万~4000万円となります。ただし、具体的な融資額は金融機関で異なり、年齢・年収や勤務先・勤続年数などの属性を重視するケースがほとんどです。必ずしも上限まで借りられるとは限りません。

また、審査の基準の一つとして年収500万~700万円以上とする金融機関も多く、年収400万台はその水準を下回るため、不利になりやすいのが現実です。少なくとも、年収400万円台の投資家が、融資上限を超えた価格の物件をフルローンで取得するのは現実的ではありません。

自己資金不足・キャッシュフロー圧迫のリスク

投資用不動産を購入する際は、頭金に加えて登記費用や不動産取得税、仲介手数料も必要で、仮にフルローンで買えたとしても、別途数十万~100万円ほどの初期費用がかかります。これらの資金が不足していると、不動産投資のスタートラインに立つことすらできません。
さらに物件の運用を始めると空室期間中の家賃減少や突発的な修繕など、ローン返済プラスアルファの資金も手元に用意する必要があります。家賃収入で賄えないとなると自己資金でカバーする必要があり、年収400万円台の人にとっては大打撃です。こういったリスクを回避するには、自己資金を確保し、返済負担の少ない物件から段階的に進めることです。

少額から始める築古戸建て投資という選択

こうした現実を踏まえると、年収400万円台の人にとって有効な選択肢の1つが、築古戸建て投資です。地方や郊外では数十万円~数百万円で売りに出されており、金融機関の融資に頼らず現金購入できるケースもあります。高利回りの物件が多く、DIYでリフォームをするとコストも抑えられます。小規模から始め安定的に家賃収入を得られるばかりか、実績を積むことで金融機関からの信用力も高まり、物件を買い増す際は有利に働くこともあります。

年収400万円台でも組める融資と金融機関の選び方

融資限度額の目安――返済比率・年収倍率を押さえる

年収400万円台でもさまざまな工夫を凝らすことで、融資を受けることは可能です。まずは、資産を作ること。年収の7~10倍が融資限度額の概算と述べましたが、資産リッチだと金融機関の評価は良くなり、頭金に充てる自己資本を増やすこともできます。本業で成果を上げ収入を増やす、キャリアアップ転職をすることで属性を高めることも検討しましょう。

「年間返済額÷年収×100」で算出する返済比率もポイントで、30~40%以内であれば審査通過の目安とされます。融資額を下げる、もしくは融資期間を延ばすことで返済比率は下がるので、この点も考慮しましょう。購入したい物件の収益性が高い場合も、金融機関の評価は高くなるので、物件選びも重要です。

審査に強い金融機関タイプ(日本政策金融公庫・ネット銀行・ノンバンク)

融資の基準は金融機関により異なりますが、一般的にメガバンクは属性を重視し、年収400万円台の人が審査をクリアすることはありません。メガバンクに比べるとハードルは低くなりますが、地方銀行や信用金庫も一定以上の頭金を求める傾向が見られます。
では、どこを選べばよいのでしょうか。その1つが政府系金融機関の日本政策金融公庫です。属性よりも事業計画や将来性を重視するので、民間の金融機関より融資を受けやすいのが特徴です。ただし、融資の上限額は低く、返済期間も短くなるので注意が必要です。

実店舗を持たないネット銀行も選択肢に入ります。融資の申し込みなど一連の手続きがオンラインで完結するので手軽に活用できます。不動産投資の融資に対する姿勢は各行で異なりますが、物件の利回りや収益性を重視する傾向があります。一方、メガバンクなどに比べると金利はやや高めです。

銀行以外の金融機関であるノンバンクは融資審査が比較的緩く、年収が低くても融資を受けやすいのがメリットです。ただし金利は高い場合もありますので、利用の際は毎月の返済額などを確かめ、継続的に返済できるのか、キャッシュフローは得られるかを見極めないといけません。

不動産販売会社提携の金融機関

年収400万円台の人が低金利かつ長期の融資をもっとも実現しやすいのは、不動産販売会社が提携している金融機関を利用することです。提携金融機関はパートナーとなる不動産会社の物件を扱っており、会社の信用度や物件の収益性・担保評価を熟知しています。そのため、通常の融資よりもスムーズに審査が通りやすく、年収が比較的低くても融資を受けられる可能性が高まります。長年の取引実績や信頼関係を築いていると、通常よりも有利な条件を引き出せることもあります。物件に合った融資プランを提案してくれるので、自身で物件を探し、個別で金融機関に融資を申し込むより効率的で、ミスマッチの回避にもつながるでしょう。
ただし、個別の融資条件は公開されていないケースがほとんどなので、まずは複数の金融機関と提携し、有利な融資条件があるかどうか不動産会社に確かめることです。

融資額を増やすテクニック――既存借入整理・クレジットカード解約

不動産投資の融資は、金融機関が定めた限度額である「与信枠」の範囲内で実行されます。そして、この与信枠は既存借入額の返済状況、さらには所有するクレジットカードの使用状況が考慮される仕組みです。

よって、住宅ローンやキャッシングといった既存の借入を整理して与信枠に余裕が生まれると、不動産投資の融資を受ける際の条件が改善される可能性があります。クレジットカードに関しても残債を整理する、キャッシング枠のあるものは借入の可能性があると判断され与信枠が縮小される恐れがあり、使用していないカードは解約もしくは限度額を下げるのも効果的です。

リスク管理と出口戦略

空室・家賃下落リスクを抑える立地選びを徹底

金利が高い、あるいは限度額上限まで融資を受けると、空室や修繕など突発的な出費が発生するとキャッシュフローが悪化し、自身の給与から資金を捻出しないといけません。こうした事態に直面すると生活自体が成り立たず、最悪なケースだと自己破産に陥ることも…。堅実な投資を心がけないといけませんが、もっとも重要なのは駅から近い、都市部など賃貸需要のある立地に物件を持つことです。入居者が絶えない物件は空室リスクを軽減し、建物が老朽化しても家賃下落リスクも避けやすくなります。

返済比率を40%以内に収めキャッシュフローを守る

過度な借り入れは毎月の返済負担を増やし、突発的な支出への体制を弱めるだけ。一般的には返済比率を年収の40%以内に収めるのが理想的で、年収400万円なら年間返済額は160万円、毎月約13万円が目安となります。この範囲内で物件を選ぶ、もしくは返済プランを練るべきです。

売却・再投資タイミング――物件価値と金利情勢をチェック

物件を保有し続けるのも選択肢の1つですが、価値が下がる前に売却し利益を確定し、より良い物件へ再投資する手もあります。周辺相場の変動、金利の動向、建物の状態、不動産市況などを定期的に確認し、タイミングを見極めることです。

まとめ

年収400万円台でも不動産投資は不可能でありません。その際は、自己資金を厚めに確保する、築古戸建てや小規模物件で実績を作る、金融機関選びと与信枠の改善を実践すると、より確度は高くなります。日本政策金融公庫などを活用したうえで小規模物件を購入する、あるいは不動産会社と提携している金融機関を利用するのも効果的です。

不動産投資についてより詳しく知りたい方は下記もチェック!:不動産投資でやってはいけないこと、成功率を上げるためにやるべきことを徹底解説

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